映画「ボーン・コレクター」徹底解説 ネタバレあり

映画

1999年 アメリカ

監督:フィリップ・ノイス
出演:デンゼル・ワシントン、アンジェリーナ・ジョリー、クイーン・ラティファ、エド・オニール、ルイス・ガスマン、マイク・マッグローン、リーランド・オーサー、マイケル・ルーカー

あらすじ

ニューヨーク市警の警官だったライム(デンゼル・ワシントン)は、科学捜査のエキスパートだったが、4年前に負った脊髄の損傷により寝たきりの身体となっていた。

一方、パトロール警官から青少年課への異動が決まっていた女性警官アメリア(アンジェリーナ・ジョリー)は、最後のパトロール中に受けた無線で一人現場へ急行、無惨な男の死体を発見し、現場に残された意味不明な証拠を素早くカメラに収める。

アメリアの的確な判断に感心したライムは彼女を助手に任命。以後彼女はベッドから無線で指示を送るライムの手足となり、事件の捜査にあたるが・・・。

概要・解説

原作はジェフリー・ディーヴァー「リンカーン・ライム」シリーズの1作目。
ヒロインを演じたアンジーはこの映画で初めて劇場公開作品の主演に抜擢され、デンゼル・ワシントンマイケル・ルーカー(最近だとウォーキング・デッドのメルル役が有名かな)など演技力ある俳優が脇を固めている。

体を動かせず表情や目でしか演技の表現できないという難しい役を演じたデンゼル・ワシントンだが、見事演じ切った演技力はさすがとしか言いようがない。

ライムを看護している看護師セルマ役で出演しているクイーン・ラティファは言わずもがなの女性ラッパーの第一人者。1994年のアルバム「ブラック・レイン(Black reign)」ではグラミー賞を受賞した。

もともとラップも歌もこなすスタイルだったが1990年代後半からはヒップホップからは距離をおき、R&B歌手として活動している。

女優としても活躍しており、2002年の映画「シカゴ」ではアカデミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞(いずれも助演女優賞)にノミネートされた。2003年にBETアワード最優秀女優賞を受賞するなど才能豊かだ。

そんな本作だが、内容的に「羊たちの沈黙」にクリソツな点がてんこ盛り。

「捜査中の事故で体のほとんどが麻痺している頭脳明晰な科学捜査のエキスパートであるリンカーン・ライム」=「心理学の権威であるが檻の中に囚われて自由の無いハンニバル・レクター

「鑑識の才能があることからライムに抜擢され体の不自由な彼に代わって捜査を行う新人警官のアメリア」=「檻の中のレクターにアドバイスをもらいつつ捜査を進める新人FBI捜査官のクラリス・スターリング

・・・ここだけ見ても類似点がこんなに。

警官だった父親の自殺を目撃したアメリアのトラウマに気付き、「運命は自ら切り開くもの」という言葉アメリアにかけるライム。そんなライムにアメリアは次第に心を許してゆく・・・いつの間にかイイ感じになっているんですよねこの2人。

このトラウマのくだりは、レクターがクラリスの少女時代に負ったトラウマを暴き、“子羊たちの叫び”を沈黙させることで、クラリスの心に平安をもたらした点も類似している。こっちはイイ感じにはなってませんがね。

まとめ

序盤から中盤にかけてはサスペンスフルな内容でハラハラドキドキさせられ、さらに現場に謎めいたメッセージを残し、猟奇的なニオイをプンプンさせながら次々と殺人を犯すシリアルキラーに「どんな動機と背景があるのか」「どんなサイコ野郎なのか」と期待させられた。

マイケル・ルーカー演じるチェイニー警部はライムの後任で、事あるごとにライムたちの妨害をしてくる嫌なやつであり、随所に「犯人かコイツ?」という怪しさを醸し出していた御仁だったが「怪しいが実は犯人ではない」というサスペンスのお約束通りラスト付近で死体に早変わり。まあこの手の映画に慣れている人にはこんなフェイクはお見通しだろう。

そしてラスト、ライムの前に現れたのはアイツ・・・。

過去にライムが書いた意見書のせいで免職になった警官が個人的な怨みで復讐を果たすため連続殺人にいそしむという思いっきり普通というか猟奇的にほど遠い動機。なのでサイコサスペンスにありがちなドロドロ感は希薄で意外とあっさりした感じなんですよね。

全体の内容的には悪くはありませんでしたが、「羊たちの沈黙」「セブン」みたいな猟奇性や嫌な後味(サイコスリラー好きには大好物なテイストですが)がまったく無かったのが残念かな~まあお茶の間向けですねコレは。

サイコサスペンスの傑作である「セブン」「羊たちの沈黙」2作のサイコ犯・・・「セブン」のジョン・ドゥ「羊たちの沈黙」のバッファロー・ビル・・・2人ともタイプは違うがイカれっぷりは折り紙つき。

本作でもこのくらいパンチの利いたサイコ野郎が犯人だったなら・・・。

一番肝心な点が「羊たち~」に似てないのが残念なところだ。

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