「影なき淫獣/TORSO」ジャーロの傑作 ネタバレ解説

あらすじ

「イタリアの古都ペルージャで美大の女学生の連続殺人事件が起きる。手口はスカーフのようなもので絞殺された挙句、鋭利な刃物で体を切り刻まれるという残忍なものだった。
 
アメリカ人留学生のジェーン(スージー・ケンドール)の級友ダニエラ(ティナ・オーモン)は、犯行に使われたスカーフが自分にしつこく言い寄ってくる男子学生ステファノの物にそっくりだと気づく。
 
身の危険を感じたダニエラは、叔父のすすめで同級生の女学生2人と共に田舎町の別荘へ避難、ジェーンも遅れて3人に落ち合う。
 
だが、ジェーンは着いて早々階段から転落し右足をくじいてしまい、1人2階で休むことになる。
その夜、階下でくつろぐダニエラたちだったが、何者かが訪ねてくる。ドアを開けるとそこにはステファノが立っており・・・。
 
翌朝、ジェーンが目覚めて階下へ下りてくるが、そこで目にしたのは信じられない光景だった・・・」
 

サントラ(テーマ曲 TORSO)

オープニングに曲がれるグイド&マウリッツィオ・デ・アンジェリス兄弟の「TORSO」。
 
ジャーロという題材に似つかわしくない妙に甘ったるい曲で、途中から出てくるサックスがさらにセクシーさを助長している。
 
同じジャーロの監督ダリオ・アルジェント作品に多数楽曲を提供しているプログレッシブロックバンドのゴブリンの曲とは当たり前だがタイプがまったく異なる。筆者はジャーロと言えばアルジェント=ゴブリンのイメージが強いのでこの「TORSO」は非常に新鮮に聴こえた。
 
 

概要・解説(ネタバレあり)

セルジオ・マルティーノ監督の「ジャーロ映画5部作」の最終作。
 
セルジオ・マルティーノといえば「ドクターモローの島」のパチモン作品で、マカロニホラーの迷作「ドクターモリスの島フィッシュマン」の監督としても有名だ。
 
主演はダリオ・アルジェントの「歓びの毒牙(きば)」(1969)のスージー・ケンドールと、フランス出身でイタリア映画で活躍したセクシー女優で「裏切りの荒野」や「青い体験」(1973)のティナ・オーモン。
 
本作はWヒロイン制をとっている(ティナ・オーモンをメインとみせかけて、終盤はスージー・ケンドールにスイッチ)。
 
ダニエラにつきまとう彼女と幼馴染のステファノや、なぜかジェーンやダニエラが行く先々に現れる目つきがかなりヤバイ医者ロベルトなど「火曜サスペンス劇場」「土曜ワイド劇場」よろしく、胡散臭いキャラクターを多数配しての犯人当てや、古都ペルージャから閉ざされた別荘での惨劇へと移行する2部構成となっているなど、かなりサスペンスフルな内容となっている。
 
セルジオ・マルティーノの作品はカット割や編集が巧みで、特にこの「影なき淫獣」は完成度が高く、エロチシズム描写も秀逸だ。
後半にヒロインは脚を捻挫して自由に動き回れなくなるのだが、やはり主人公が足を怪我して自由に動き回れなかった「ミザリー」同様そのサスペンスフルな展開はなかなかいい。
 
町を見下ろすように小高い丘の上に建てられた別荘という舞台設定を生かし、町の風景を眼前で見ながらも足の怪我で逃げることができない主人公ジェーンの絶体絶命の心理を巧みなカメラワークで描き出している。
だがゴアシーンを期待する人には申し訳ないが、直接的な残酷シーンはほぼ出てこないので(切断シーンなど)あまり期待しないように。