1997年製作のカナダ映画「CUBE」。
監督はカナダの奇才ヴィンチェンゾ・ナタリ。本作で「デビッド・クローネンバーグ以来の衝撃」と称賛された。
様々な死のトラップが仕掛けられた謎の立方体(CUBE)内に理由もわからず放り込まれた男女6人の脱出&密室での心理劇を描いている。
海で漂流する救命艇内で繰り広げられる男女8人の心理戦を描くヒッチコックの「救命艇」(44)から着想を得た。
#救命艇
— モンタナS(引用お断り🙇) (@montanas1968) December 21, 2020
第二次世界大戦時にUボートに沈められた船から数人の人々が救命艇に乗りそこにUボートの生き残りのドイツ兵を助ける事になるが‥
ヒッチコックの傑作で密室状態での人間模様が非常に面白く一連の流れを見事に作りながらラストをズバッと切っているのも素晴らしい。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/1CS5nWyMUe
概要・解説
当初カナダの一部の映画館のみの公開だったが口コミがきっかけで世界中で大ヒットし、日本でも単館系では異例のヒットを飛ばした。映画「SAW」やゲーム「ROOM25」など数多くの映画やゲームに影響を与えた。
本作ではたくさんの立方体を移動して脱出を試みるわけだが、低予算だったため実際撮影で使われた立方体のセットは1つだけ。部屋の照明を変えるなどしてたくさんの立方体があるような演出がなされた。
「様々なトラップが仕掛けられた無数の部屋からの命懸けの脱出劇」「脱出のカギとなる3桁の数字3つが刻印されたプレート(素数、デカルト座標、因数分解など)」「登場人物らの心理戦や駆け引き」等、密室脱出劇の王道を行く作品だ。殺風景で無機質な部屋、BGMもほとんどないなどの演出が緊張感をより醸し出している。
最初は協力し合う6人だったが、先の見えない焦燥感や疲労から次第に本性が現れ仲間割れをはじめて自滅していく様はジョージ・A・ロメロ監督がゾンビで描いた「愚かな人間=仲間割れして自滅」という構図とよく似ている。
続編・シリーズ
「CUBE」の大ヒットを受け本作以外にもシリーズが製作された。物語の時系列順に並べると以下のようになる。
①「CUBE ZERO」(2004)
「CUBE」の前日談でキューブの裏側、管理者側中心で描かれている。1作目に登場した自閉症で数学の天才カザンの正体も明らかになる。1作目へと繋がる作品。
②「CUBE」(1997)
謎の立方体(キューブ)の中に閉じ込められていた6人の男女の脱出劇を描く1作目。
③「CUBE2」(2002)
基本設定は「CUBE」と一緒だが前作よりパワーアップした「ハイパーキューブ」が登場。
「時間が戻る」「別次元の自分に逢う」など前作以上にSF要素が増し、黒幕と思われる軍需産業の存在も浮かび上がる。
日本でリメイク版公開!2021年10月22日公開予定
カルト的人気を誇る「CUBE」が24年の時を経て日本でリメイクされる。
公認リメイクで、主演は菅田将暉が演じオリジナル版の監督ヴィンチェンゾ・ナタリ本人がクリエイティブ協力で参加する。
謎の立方体「CUBE」に閉じ込められた何の接点も無い6人の男女が、死のトラップが仕掛けられた部屋から暗号を解読しながら脱出する姿を描く。
近年日本ではデストラップの登場する「インシテミル 7日間のデスゲーム」や「カイジシリーズ」などのデスゲームジャンルがヒットしているだけに興行的にも期待できそうだ。
原作では「グロい残酷描写」がある意味見せ場であったがリメイク版はG指定(全年齢)とR指定(年齢制限)、映画のレイティングをどうするかが気になるところだ。
【出演者】
菅田将暉・・・エンジニアの後藤裕一役
杏・・・団体職員の甲斐麻子役
岡田将生・・・フリーターの越智真司役
田代輝・・・中学生の宇野千陽役
斎藤工・・・整備士の井手寛役
吉田鋼太郎・・・会社役員の安東和正役
公開は2021年10月22日の予定だ。
原作:ヴィンチェンゾ・ナタリ
監督:清水康彦
出演:菅田将暉、杏、岡田将生、田代輝、斎藤工、吉田鋼太郎
配給:松竹株式会社