映画「エンゼルハート」ネタバレ あらすじ 徹底解説!ミッキー・ロークの最高傑作

1987年 アメリカ

監督:アラン・パーカー
脚本:アラン・パーカー
原作:ウィリアム・ヒョーツバーグ『堕ちる天使』
製作:アラン・マーシャル、エリオット・カストナー
製作総指揮:マリオ・カサール、アンドリュー・ヴァイナ
出演者:ミッキー・ローク、ロバート・デニーロ、リサ・ボネット
音楽:トレヴァー・ジョーンズ

あらすじ(ネタバレ)

1955年、離婚訴訟など小さい案件しかあつかったことのないニューヨークの私立探偵ハリー・エンゼル(ミッキー・ロークは、弁護士事務所を介して紹介されたルイス・サイファー(ロバート・デ・ニーロという富豪から、戦前に人気歌手だったジョニー・フェイバリットを探してほしいという依頼を受ける。

ハリーは胡散臭さを感じるが、破格の報酬に惹かれて仕事を引き受けてしまう。
調査を始めるとジョニーは北アフリカに慰問に訪れていた際に敵の攻撃を受けて顔に酷い傷を負い帰国、病院に収監されたことがわかった。
当時の主治医ファウラーを訪ねるとジョニーは男女2人に病院を連れ出されたことが判明するが、その直後ファウラーが何者かに惨殺される。

その後もジョニーの行方を追うハリーであったが、その先々でジョニーの関係者が何者かに惨殺されてしまう。そして捜査を進めて行くうちに、黒魔術やブードゥーなど宗教絡みの事件であることが徐々に判明する。

捜査を進める中、ジョニーの愛人であったブードゥーの巫女の娘エピファニー(リサ・ボネットと出会う。
徐々に彼女の美しさに惹かれるハリー・・・いつしか2人は男と女の中になるのだった。

そしてラスト、驚愕の事実が判明する。
探し求めていたジョニーはハリー自身だったのだ。

歌手として成功するための代償として悪魔に魂を売ったジョニーだったが、願いが叶うと悪魔から逃げようと目論み、同い年の兵隊であったハリー・エンゼルをいけにえにし、その心臓を食べて彼になりすまそうとするが、戦争で重傷を負ったことで記憶喪失になり、その事実を忘れていたのだ。

惨殺されたファウラー、マーガレット、トゥーツ、イーサンはハリーが手にかけていたのだった。
そして依頼人であったルイス・サイファーこそがジョニーから魂をもらう契約をした魔王ルシファーであったのである。

すべてを知り自失呆然のなるハリー。そして愛し合ったエピファニーが自らの娘であったことを知る。

サタンにすべてを聞かされたハリーは急ぎエピファニーの元に戻ると、股ぐらを銃で撃ち抜かれた彼女の死体が横たわっていた・・・そう、ハリーが殺していたのだった。

殺害現場に戻ってきたハリーは刑事から「なぜ戻ってきた」と問われる。
「電気(電気イス)で焼かれるぞ」という刑事の言葉に対し「ああ、地獄でな・・・」と返すハリー。
するとその傍らにいたエピファニーの息子の目が怪しく光る・・・エピファニーがブードゥーの儀式の最中に身ごもったというこの息子(ハリーの孫)はサタンの子だったのである。

概要・解説

ウィリアム・ヒョーツバーグの小説「堕ちる天使」を映画化した問題作。
監督・脚本はイギリスの名匠アラン・パーカーで、彼が初めて挑んだオカルト・サスペンス作品である。

映画公開時のキャッチコピー「人間には知ってはならないことがある・・・」が非常に印象的。

主人公ハリー・エンゼルを演じたのはご存じミッキー・ローク。
当時のロークは、チャイニーズ・マフィアとイタリアン・マフィアの抗争を描いた「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」やキム・ベイシンガー共演の9週間半にわたる男女の倒錯した愛を描いた「ナインハーフ」が大ヒットとなり、セックス・シンボルとして日本でも高い人気を得ていたが、ヤク中と伝説となっている「猫パンチ事件」で人気が急落。
映画「レスラー」でブレイクするまで長い低迷時代を過ごすことになる。

原作は77年の発売当初、そのショッキングな内容のために、全米各地で青少年保護団体による廃刊運動が起きた。
この作品の映像化は不可能だと言われていたがアラン・パーカーが見事に手掛け、あのスティーブン・キングに「不可能だと信じていた事をいとも簡単にやり遂げられてしまった」と言わしめた。

配役の選考も過熱し、ダスティン・ホフマンロバート・レッドフォードハリソンフォードらを抑えてミッキー・ロークが主役に選ばれ、サイファー役は、ロバート・デ・ニーロマーロン・ブランドが最後まで競った。

数いる名優を抑えて主役を得たロークだが、あのセクシーで影のあるロークと本作は見事にマッチングしており、結果的にこのキャスティングは大正解だと思う

エピファニーを演じたのは大ヒットテレビ番組「コスビー・ショー」の次女デニス役で知られるアメリカでは誰もが知っている人気女優リサ・ボネット。
当時19歳だったがファミリー番組のスターであるにも関わらずヌードを披露した上に激しいベッドシーンを演じ、アメリカでは物議をかもした。
このベッドシーンのときに天井から降ってくる大量の血が流れるシーンは牛の血を2トン使用したそうだ。

そして本作で私が一番好きでもあり不気味とも感じるシーンが度々挿入される格子のエレベーターのカット。
これは堕ちて行くハリーの運命を示唆しているように見える。これと合わせて流れるトレバー・ジョーンズのサントラが不気味さを煽っている。